たのしく生きたい

しがないオタクが色んな話をしたりしなかったり

僕魔法っていうオタクにめっちゃ刺さる朗読劇を見た話

僕らは人生で一回だけ魔法が使える。


てっきり去年と思っていた初演が2月で驚いたけど、再演見に行きました。
めちゃめちゃに良かったので記録代わりの日記にしました、鳥頭なんでね、書かないと忘れる。


どんな内容かっていうと自然豊かな村で育った幼馴染4人が、18歳になる年に実はこの村の男は20歳までに一度だけ魔法が使えるんだよって教えられて魔法?嘘でしょ、でももし本当に使えるなら何に使おう?どうしよう?って悩んだりする話なんだよね。うっすらファンタジー。あと神の生音ピアノ演奏。


終わったし再演だからどんどん書くけど、メインの4人が四季の名前なのね。

アキトは楽器屋の子でピアニストを目指してる、ハルヒは生まれつき心臓が弱い、ナツキはサッカーを真剣にやってたけど既にやめてて、ユキオは村でも裕福な家の子でどちらかというと大人しい。ずっと仲が良かったんだけど、ナツキがサッカーをやめてからぎこちなくなっている。

 

この時点で最高じゃない?関係性。

 

で、そんな4人のとこに魔法の話がくるのね。なんやかんやあって結果盛大に揉める。

(なんやかんやは後で書くたぶん)

サッカーやめてからちょっと捻くれちゃったナツキが「うだうだうっせー!そんなもん音大受かって体直して好きな子に好きになってもらう!それしかねーだろ!」って叫ぶんだけどそれは違うでしょって窘められて、なんなんだよ、おまえも村も、もう全部しんどいって高校やめて村からも出てちゃうんですよ。

いやまじナツキあまりに正論なのに周りの心がきれいすぎる。ナツキなんも悪くない。

ただこの魔法、命にまつわることには使っちゃダメだよ不幸なことが起きるからねって制約がついてて。だからハルヒは体を治すことには使えないんだけどそもそも本人が自分に使う気がさらさらない。

どうせ使うならあいつ(アキト)の笑顔が見たい、って言って実際真っ先にアキトの為に使ったからねこの子。

 

いやすごくない?待って、待ってくれる?

めっちゃ深読みしたくなるんだが?って自分は殺した。こんな清い話で何を考えているのか。ごめん。


まあでもなんでそうなったかってバックグラウンドもしっかり語ってくれるんですよ、4人とも。それそれのオリジナルBGMに乗せて。すごいよピアノ生音BGM。臨場感やばい。


ハルヒは死にかけて生まれてきて、心臓が悪いこと、この先もきっと普通には生きられないことを最初からつきつけられてる。

小学校に上がるまでほとんど外で出られなくてずっと家の前の公園で3人が遊んでるのを見てたのね。そうして小学校に入って初めてよろしくねって笑って手を差し伸べてくれたのがアキトだった。運命かな。その帰り一人で転びかけた自分の手をぎゅって握って助けてくれたのも、遊びに混じれない自分を背負って仲間に入れてくれて、初めて体で風を切る感覚を教えてくれたのもアキトだった。ほかの二人もちゃんとすごい優しいんだけど、ハルヒの中ではそれが鮮烈なわけで。

だからハルヒ、ものすごくアキトのことすきなんですよ、見ててわかる。アキトのことものすごく大事にしてる。すごい好き。これはオタクの妄言じゃない。事実。

あと、一切自分の体のことも早く死んでしまうことも悲観してないの。まじで微塵もしてない。可哀そうとも思ってない。

この体だからみんなと出会えた、感謝してる、と言い切る強さよ。

ちゃんと愛されている自覚を持ってるハルヒ

ただアキトのことはマジで特別好きってよくよくよくわかる。みんなを描くのすきだけど、ピアノを弾くアキトの横顔を描くのが特別好きだ、って本人にも言うから。

あ、ハルヒとても絵が上手でアキトの絵で賞も取ります。愛だよね。


ナツキはずっとサッカーが好きでサッカーを一生懸命やって将来はサッカー選手になるのが夢だったし実際たぶん才能もあった。最初は少年サッカーだったけどスクールにも通って、クラブチームにも入れるところまで来てて。

ナツキのそれはもう夢じゃなくても目標だ、って言う3人と祝杯を上げてあいつらは親友だって言ってたんだけど、造園業をしてるお父さんが倒れて仕事ができなくなってお金がかかることへの罪悪感からサッカーやめてしまうんですよ。高2の夏に。やっぱ才能なかったわって笑って。

辛すぎんかナツキ少年。

そこで夢を追ってるアキトと衝突して、みんなとぎこちなくなってしまう。

大人は何にだってなれるって言うけど何にだってなれるわけじゃないんだよ!って叫ぶ声の悲しさやばい。

出て行って離れ離れになった後で本当はまたみんなと話がしたいって泣いてるの。一人現実突き付けられ続けてて辛いのに、最後ハルヒの為に泣きながら魔法を使うまじでめっちゃいい子。すごい好き。


ユキオは父が土建屋をしている裕福なおうちに生まれてそこはかとなく坊ちゃん臭のあるぽやんとした手先の器用な男の子で、まず間違いなく一番年相応に成長した。

工作部を作ってこじんまりと好きな活動をする中で同じ部の女の子を好きになるんだけど、その過程がナツキにおまえあの子好きだろ~って言われて気になってきちゃうみたいな学生時代あるあるでしょって感じ最高です。

伝えたほうがいいよ、お前は良いやつだ、顔も悪くない、ハートも魅力的だよってそれぞれに励まされて告白するけど実は3人しかいない部の残りの一人と付き合ってましたーって言われるわけよ。そこでその子がユキオくんのお父さんお金の為にダムをつくたって本当?っていうの。フッたついでに。

一言多いやべー女だよ、やめとけ。

村にはダムがあるのね、自然を壊して作られたダム。あんまりいい印象ないんだろうね。そのせいで大好きなお父さんとすれ違っちゃう。

魔法のことを考えると女の子へのこの気持ちがなければいいのに、そのせいでこんなに苦しい。そんなこと考えるのが辛い。誰かのせいにするのが辛い、苦しい。ってめっちゃいい子じゃない?

アキトと衝突して殴れよほら!って言ってるナツキを泣きながら殴ってもうやめようって言える強い子でもあるわけ。幼馴染をちゃんと均等に尊重して好きなのはユキオだな。間違いない。

ちゃんと父とも自分で和解してお家継ぐ。


最後アキト。

アキトは村の小さな楽器屋さんの子で小さい時から音に囲まれて育って将来はピアニストになりたいって夢を持ってる。面倒見がよくて幼馴染のまとめ役なんだろうな、魔法を使う会議をしようって言ったりナツキと前みたいに話ができて楽しかったなって思ったりする。ピアニストになるために東京に出て音大に入りたいんだけど、裕福なおうちじゃないから国立一本。落ちたらそれ以外の道でプロを目指すよって言ってまたナツキと揉める。自分の力で入れないなら入らないほうがいいって真っ直ぐさがあるの本当に心が強い。

アキトはずっと真っ直ぐで、魔法で受かることを想像してみてそれじゃ嫌だ、ちゃんと自分で、って思う芯のブレなさがなあ。結果国立音大に受かるし音大でも結果を出し始める。

あと、アキトのパートにはお母さんの手紙が出てくるのね。お父さんとのことや魔法のことやアキト自身のこと。

そういうことを書いてある手紙が、亡くなったお母さんから誕生日に届くんですよ。

毎年、一通1歳の時に死んでしまった母からの手紙が届くの。

 

いや、やばくない?勘弁してくれんか。無理では。アキトを愛した人は死んでしまうの?やめて。

 

魔法を使って会いたい人、お母さん、でもそんなことしたら父さんが悲しむって思ってやめたりもするんだよね。アキトもめっちゃいい子なんだよ。ハルヒのことちゃんとわかってるんだろうなって掛け合いもするし。

ごめんこれは妄言かもしれない。

ハルヒがアキトが村を出る日に背中を押すために魔法を使ったことは知らないけど、ハルヒとした約束の為に魔法を使う。

 

書いてて思ったけどこれもうオタクの業じゃなくてオタクの好きなやつ盛り込んでくれただけよな?ありがとう、幼なじみ最高。


あと、アキトが大学で出会う音色って男の子がいるんだけどマジで最高なんでちょっと聞いてください。

音楽一家のサラブレッドで、内面オカマ口調のプライドの鬼なんだけど外面丁寧な青年なんですよ。

アキトはカナブン、あたしはカブトムシなの。カナブンには角ないの、偽物なの!わかる?!紛らわしいのよ!あんたには絶対負けないわよ!キーッ!

ってめっちゃコミカルで最高。外面でアキトに音良くなったねって言ってありがとう嬉しいなって返されて、アンタもあたしもほめなさいよ!って思ってるような子。いやもうマジで大好き、音色くんいいわ好き。

 

で、そんな大学生活を送ってたアキトが20歳になった少し後、留学のかかったピアノのコンテスト前日。

村に残ったユキオから「ハルヒの意識がなくなった」って電話がかかってくる。

今までずっとアキトの所に送られてきた手紙では元気ですって体調はすこぶる良いって言ってたけど、それが全部ハルヒがアキトを思ってついていた嘘だったんですよ。献身が過ぎる。

本当はずっと寝たきりで、もう駄目なことをその電話で初めて知って夜中に寮飛び出してハルヒのとこ行くのね、明日コンテストなのに。愛しかない。

早朝たどり着いた先で久しぶりに会ったハルヒはアキトの知ってる姿じゃなかった。

それ見て頑張ったんだね、闘っていたんだねって。ハルヒ、アキトだよって言ってたらバタバタ走ってるとの後でナツキが病室に飛び込んでくんのよ。

ハルヒ!って泣きながら。

18の年に分かれたきりだったのに。

そこで泣きながらナツキからいろんなことが語られるのね。

自分の父が命にまつわることに魔法を使ったからみんな不幸になってしまったって。俺が元気で生まれたせいでハルヒがこんな目にあって、アキトの母さんも病気で亡くなって、ユキオの父さんだってダムなんて、全部俺が生まれたせいだごめんってめちゃ泣いて謝って。俺の魔法でハルヒをっていうナツキをアキトが止めるのね。

それは全部誰のせいでもない。ハルヒはそんなの望まない、って。

僕は母さんから教わった、人が死ぬことには意味があるって。だからハルヒがここで死んでしまうことにもきっと意味があるし、ハルヒは生かされることを望まないって。

自分も泣いてるのに。

そのあともういつ死んでもおかしくないハルヒの手を握って聴いててね、ハルヒの為にピアノ弾いてくるからって東京戻ってその足でコンテスト出るの。


アキトが戻る直前に使った魔法は、僕のピアノがこの村の自然の音に乗ってハルヒの所に届きますように。村を出る日にハルヒとした約束はいつか成長したピアノを聞かせてあげるだった。

 

いやもう、これ、愛じゃなかったらなに?

愛しかない。


ナツキはハルヒに生きてほしいけど、でも、だけど、それを望まないから、だからせめてハルヒハルヒを想って弾くアキトのピアノが届くように、最後にもう一度だけ目を覚ましてあげてください。って魔法を使う。
ユキオはハルヒの生まれた日の景色を、満開の桜の花みたいな景色をって魔法を使う。


無理じゃない?みんな誰かのため。しんどいオブしんどい辛すぎて泣く。

こんなんオタクじゃなくても皆すきだろ。


たくさんの魔法でハルヒは最後を彩られて、それぞれへの思いを語って、つづって残して、気持ちいい、気持ちいい音だなあって微笑んで。遠くでピアノ弾いてるアキトの

 

ハルヒ、ありがとう、ありがとう

ハルヒ、だいすきだよ、さよなら

 

って声も聞こえてるみたいに亡くなるんですよ。
そんなハルヒの最後の言葉が、

 

人生にはいいことも悪いこともある、っていうか悪いことのほうが多い。だからね、良いことに目を向けていこう。良いことを見て生きていこう。

 

なのがも~~~~さ~~~~。

ま~~~~泣いた。

お母さんの手紙も本当にもうめっちゃ愛に溢れててさあ。あとこれ、朗読劇なんですよね。
なんだけど、声と表情がさあ、良いんだみんな。朗読劇ってすごいなあ。


そんなお話を今回、アキト役とハルヒ役の演じ手が入れ替わりWキャストでやったわけですよ。


二通りのアキトとハルヒを見れる公演だったんです。


元々アキトの高野くんがハルヒもやる。
元々ハルヒの眞島くんがアキトもやる。


どうだったって、なんかもうすーーーーごかった。印象全然違う。役者ってスゲーな。まじで。


高野アキトと眞島ハルヒは「ハードカバーの小説」で眞島アキトと高野ハルヒは「少年誌系の漫画」って感じ(?)


高野アキトは落ち着いてて精神年齢高くて芯の熱が目の奥で燃えてるタイプで、眞島アキトは元気でさっぱりしてて芯の熱が全身から見えてるタイプ(?)
眞島ハルヒは凛としてて、見た目普通の細身の青年なのに散り際の桜にすら攫われそうなタイプで、高野ハルヒは儚くて、線が細くて華奢で見た目すごく体弱そうなのに真夏の向日葵が異様に似合うタイプ(?)


物語の後ハルヒが亡くなってからも高野アキトは心の隅にいつもハルヒを置いているけど、眞島アキトは頭の隅にハルヒを置いてそうな感じだった。

 

ごめんこれは100%妄言。ゆるして。


あと最後さぁ、ピアノ弾きながら心の中でアキトがハルヒありがとう、だいすきだよって言うシーンあるんだけど。

言った?

言ったか。

まあいいや聞いて。

 

高野アキトはすっごい優しい声音で噛み締めながら微笑んでそれを言ってて眞島ハルヒは微笑みながら一筋涙落とすの。

でも眞島アキトははっきりしっかり大きく笑顔でそれを言って高野ハルヒはくしゃって笑いながらぽろぽろ泣くの。
その差がなんかもう、あーーーーーーって。

すごいな、なんか、一つの脚本で二つの関係性を見たわ。
どっちも良かった。ほんと。


ナツキの真っ当な少年感もさいっこうに良かったしキレる理由も内容も正当でなんていい子なんだろうなって。

ナツキきっとものすごく優しい。
ユキトはものすごいお坊ちゃん気質なんだろうけど最終的に一番地に足の着いた精神と優しさを手に入れそう。いい子。
わたしは音色がまーもーハチャメチャに好きなんだけど、主人公アキトがどこか異質なんだよって言うのにちゃんと寄り添てくれてていい距離感のライバル?友達。コミカルな内面とプライド高めの外面が最高すぎた。きっとコンテストでは勝ってても負けてても、内心キーッってしながら今日の音すごくよかったよって言ってくれる。推し。
あとお母さんは聖母。
ピアノは神。


本当にたのしい舞台でした。

次もあるならまたWキャストしてほしいなあ。

できれば普通の舞台の形の板の上で。

回ってんの悪くなかったけど集中してみたい気持ちもあったから、再再演は横並びで頼む。

チマっとした高野ハルヒとドン、と座った眞島アキトしっかり見たい。
長い忘備録になってしまったけどほんとめっちゃ良い朗読劇でした、僕魔法。


ありがとな!!!